化学 有機で出てくる反応③塩化鉄(Ⅲ)

化学

有機でよく出る反応シリーズ第3回です。第1回と第2回はこちらです。
第1回 化学 銀鏡反応 | 猿山高校 (monkey-studying.com)
第2回 化学 有機で出てくる化学反応② ヨードホルム反応 | 猿山高校 (monkey-studying.com)
終わったらこちら読んでみてください。
第4回 化学 有機で出てくる反応④ 水酸化ナトリウムと炭酸水素ナトリウム | 猿山高校 (monkey-studying.com)
今回の反応は名前がついていませんが、塩化鉄(Ⅲ)を加えて青紫~赤紫色に色がついたらフェノールがあることがわかるという反応です。フェノールというのはベンゼン環にヒドロキシ基が直接結合した構造をしています。

フェノールについて覚えておいてほしいことはまた別の機会でまとめるとして、問題を解いていきましょう。

<問題>
芳香族化合物A、B、Cについて、次の[前提]が分かっている。
[前提]
・分子式はC8H8O2で表される。
・ベンゼン環に2つの置換基を持ち、いずれもp-置換体である。
・化合物Aはカルボン酸である。
以下の実験を行った。
[実験1] 化合物A、B、Cに塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると、化合物Bのみ紫色を呈した。
[実験2] 化合物A、B、Cにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて穏やかに加熱するとBのみ黄色化合物が沈殿した。
[実験3] 化合物A、B、Cを、試験管に入れたアンモニア性硝酸銀水溶液に加えて穏やかに加熱するとCのみ試験管が鏡のようになった。

(1) 化合物A、B、Cの構造式を書きなさい。
(2) 実験2で生じた黄色化合物の名前と化学式を答えなさい。
(3) 次の文章のうち、正しくないものを選びなさい。
  ア 化合物Aの構造は、[前提]に書かれた条件のみで決定できる。
  イ 化合物Bの構造は、[前提]と[実験1]の結果のみで決定できる。
  ウ 化合物Bの構造は、[前提]と[実験2]の結果のみで決定できる。
  エ 化合物Cの構造は、[前提]と[実験3] の結果のみで決定できる。

<解答>
(1) (2) 分子式から、ベンゼン環(C6個)にC2個とO2個がついた構造だと分かります(Hの数はあまり意識しなくて大丈夫です)。p置換体なので置換基どうしはちょうど向かい合った位置に着きます。
 化合物Aはカルボン酸なのでCOOHを持ちます。C1個とO2個を使ったので、残りC1個の置換基をつければ完成です(図参照)。
 化合物Bは実験1の結果からOHを持ち、実験2の結果からCH3-COを持ちます。この段階でC2個とO2個を使っているので、これ以外に置換基はないです(図参照)。実験2の反応をヨードホルム反応といい、ヨードホルム(化学式;CHI3)という化合物が生じます。
 化合物Cは実験3の結果からCHOを持ちます。残りC1つとO1つで図のような構造を作れます。

(3) 上の解説で書いたように、前提条件のみでAの構造は決まるので、アは正しいです。[前提]と実験1の結果だとBの構造は次の2つが考えられますので、イは誤りです。一方で、[前提]と実験2の結果があれば、Bの構造は決まります。実験2の結果でCH3COを持つことが分かるので、残りはO1つだけだからです。化合物Cの構造は解説で書いたように[前提]と実験3だけで決まります。以上から正解はイです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました