化学 有機で出てくる反応④ 水酸化ナトリウムと炭酸水素ナトリウム

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有機でよく出る反応シリーズ第3回です。第1回から第3回はこちらです。
第1回 化学 銀鏡反応 | 猿山高校 (monkey-studying.com)
第2回 化学 有機で出てくる化学反応② ヨードホルム反応 | 猿山高校 (monkey-studying.com)
第3回 化学 有機で出てくる反応③塩化鉄(Ⅲ) | 猿山高校 (monkey-studying.com)

今回は、水酸化ナトリウムを加えて加熱する反応と、炭酸水素ナトリウムを加えて加熱する反応についてまとめます。
水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、加水分解反応が起こります。加水分解反応では、エステル(-COO-)をアルコール(-OH)とカルボン酸(-COOH)に分解します。
炭酸水素ナトリウムを加えて加熱する反応は、カルボン酸の判定に使用します。炭酸水素ナトリウムがカルボン酸と反応すると、二酸化炭素が発生します。

<例題1>
化合物A~Dは、C4H8O2で表されるエステルである。化合物Aに水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、酢酸とアルコールが得られた。化合物Bに水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、カルボン酸とメタノールが得られた。
問1.化合物Aの構造をかけ。
問2.化合物Bの構造をかけ。
問3.化合物CとDについて述べたものとして正しいものを2つ選べ。
  ア 加水分解の結果得られるアルコールは同じである。
  イ 加水分解の結果得られるカルボン酸は同じである。
  ウ 一方は不斉炭素をもつ。
  エ ともに不斉炭素をもつ。
  オ どちらも不斉炭素は持たない。

<解答・解説>
A~Dはエステルなので-COO-という構造を持ちます。-COO-の左と右に何をつけるかという観点で考えましょう。
問1.Aは加水分解すると酢酸(CH3COOH)が得られたので、-COO-の左にはCH3がつきます。全体でC4にするために、残りC2つを-COO-の右につけましょう。
問2.Bは加水分解するとメタノールが得られるので-COO-の右にCH3がつきます。残りC2つを左につけましょう。
問3.Aは-COOの左に炭素1個、Bは-COOの左に炭素2個をつけました。では-COOの左に炭素0個は可能でしょうか。ギ酸というカルボン酸はHCOOHという構造ですので、-COOの左に炭素0個の構造になります。-COO-の右には炭素3個がつきますが、そのつけ方で2パターンかけます。A~Dの構造は下の様になります。CとDはともに、加水分解するとギ酸が生じ、不斉炭素はないですね。よって、問3の解答はイとオとなります。

<例題2>
次の2つの化合物について、後の問いに答えなさい。

問1.NaOHを加えて加熱すると、ナトリウムフェノキシドと酢酸ナトリウムが生じるのはどちらか。
問2.NaHCO3を加えて加熱するとCO2が生じるのはどちらか。

<解答・解説>
問1.NaOHを加えて加熱は加水分解反応ですので、エステルであるAが該当します。ナトリウムフェノキシドと酢酸ナトリウムって何?と思われるかもですが、加水分解の結果生じるアルコールとカルボン酸は共に酸性の化合物ですので、塩基性のNaOHと中和反応をするんですね。その結果、例えば酢酸(CH3COOH)だと、酢酸ナトリウム(CH3COONa)になります。
問2.NaHCO3を加えてCO2が発生するのはカルボン酸と反応するときですので、Bが該当します。これは炭酸よりカルボン酸の方が強い酸だから起こる反応です。

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