化学 有機で出てくる反応⑤過マンガン酸カリウム

化学




有機でよく出る反応シリーズ、いったん今回で最終回となります。
過去の回は以下にあります。
第1回 化学 銀鏡反応 | 猿山高校 (monkey-studying.com)
第2回 化学 有機で出てくる化学反応② ヨードホルム反応 | 猿山高校 (monkey-studying.com)
第3回 化学 有機で出てくる反応③塩化鉄(Ⅲ) | 猿山高校 (monkey-studying.com)
第4回 化学 有機で出てくる反応④ 水酸化ナトリウムと炭酸水素ナトリウム | 猿山高校 (monkey-studying.com)

過マンガン酸カリウムは言わずと知れた酸化剤です。アルコールを酸化させるとアルデヒドになり、さらに酸化させるとカルボン酸となります。意外と忘れがちなのはメチル基(-CH3)であっても完全に酸化させるとカルボン酸になるということです。この点も忘れないようにしましょう。

<例題>
化合物A~はいずれも化学式C8H10Oで表される芳香族化合物である。

問1.不飽和度を求めよ。

[Ⅰ] 化合物A~Cは1置換体であり、化合物Aは不斉炭素原子をもつ。化合物BとCを金属ナトリウムと反応させたところ、Bのみ気体が発生した。
問2. 化合物Aの構造をかけ。
問3. 化合物Bとナトリウムの反応の結果生じた気体は何か。また、Bを過マンガン酸カリウムと反応させ、完全に酸化した際に生じる化合物の構造をかけ。
問4. 化合物Cの構造は何種類考えられるか。

[Ⅱ] 化合物D~Fは2置換体であり、いずれもパラ置換体である。塩化鉄(Ⅲ)水溶液と反応させると化合物Dのみ呈色反応を示した。化合物Eを完全に酸化させるとPETの原料となる化合物が得られた。
問5.化合物D,E,Fの構造をかけ。

<解答>
問1.炭素8個の化合物なので、不飽和度0だと、水素は8×2+2 =18個付くはずですが、今回は10個なので8個少ないです。この差分を2で割った値が不飽和度です。今回は4ですね。
ベンゼン環が不飽和度4ですので、ベンゼン環以外に二重結合や環状構造はもたないことが分かります。

問2.不斉炭素というのは炭素についている4つの部品がすべて異なるものを言います。今回だとどんな部品があるでしょうか。Oを持っているので-OHはありそう。ベンゼン環があるのと、ベンゼン環と不斉炭素以外にもう1個Cをもつので、-CH3もありそうです。あと1個は大体-Hです。このように考えると解答のような構造が書けます。まあ、この辺はトライアンドエラーですね。もちろん考えられる構造をすべて書きだしてから探してもいいです。

問3.ナトリウムと反応して気体が発生するのはアルコールの性質です。発生する気体は水素です。反応式も書いておきます。2R-OH + 2Na → 2R-ONa + H2
さて、Bの構造ですが、A以外のアルコールは1つのみです。これを完全に酸化すると、カルボン酸になります。

問4.ナトリウムと反応せず、酸素を1つだけ持つ化合物、なおかつ二重結合もないということで、Cはエーテルだと考えられます。ベンゼン環―O-C-Cと、ベンゼン環―C―O-Cの2種類が考えられます。

問5.塩化鉄(Ⅲ)と反応するのはフェノールの特徴ですので、Dはベンゼン環に直接-OHがついた構造をしていることがわかります。パラ置換体ということですので、-OHの反対側にC2個をかけばDの構造が分かります。

PETというのはポリエチレンテレフタラートの略で、エチレンとテレフタル酸という2種類の化合物からできます。2つのうち、ベンゼン環を持つのはテレフタル酸ですので、Eを酸化してできる化合物はテレフタル酸ということが分かります。
酸化してテレフタル酸になる構造としては CH3-ベンゼン環-CH3でもいいのですが、今回はOが1つ必要ですので、片方はアルコールにしておきましょう。

DはOH-ベンゼン環-C2個、EはC-ベンゼン環-C-OHでした。このOの場所を入れ替えると、Fの構造、C-ベンゼン環-O-Cが得られます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました