化学基礎 電子親和力と電気陰性度

化学基礎


今回は電子親和力と電気陰性度について解説します。名前もなんとなく似ていますが、似ている部分、違っている部分をしっかり理解しましょう。

 前回はイオン化エネルギーについて解説しました。
化学基礎 イオン化エネルギー | 猿山高校 (monkey-studying.com)
復習しますと、イオン化エネルギーとは「原子から電子を奪って、陽イオンにするのに必要なエネルギー」のことでした。
 それに対して、電子親和力とは「原子に電子を与えて、陰イオンにするときに放出されるエネルギー」のことです。イオン化エネルギーのときは必要なエネルギーだったので、大きいほど陽イオンにはなりにくかったのですが、電子親和力は放出されるエネルギーなので大きいほど陰イオンになりやすいことになります。

<例題1>周期表の第3周期の原子について、次のものを答えなさい。
(1) イオン化エネルギー最小の原子
(2) イオン化エネルギー最大の原子
(3) 電子親和力最小の原子
(4) 電子親和力最大の原子

<解答>
(1)「イオン化エネルギーが小さい」=「陽イオンにするのに必要なエネルギーが小さい」=「陽イオンになりやすい」ということです。同一周期だと1族が最小です。第3周期だとNaですね。
(2) 逆に、イオン化エネルギーが大きいということは陽イオンになりにくいということです。同一周期では18族(希ガス)が該当します。第3周期だとArです。


(3)「電子親和力が小さい」=「陰イオンにするとき放出されるエネルギーが小さい」=「陰イオンになりにくい」ということです。(1)で最も陽イオンになりやすい原子が1族だと書いたので、最も陰イオンになりにくい原子も1族だと考えてしまいそうです。確かに、1族は陰イオンになりにくいですが、それ以上に2族と18族(希ガス)は陰イオンになりにくいです。ですので、MgとArが最小です。18族は閉殻構造になっているので電子が入るわけないっていうのは分かると思います。2族の方は電子軌道の説明が必要なので高校の間はひとまず理解しなくて大丈夫です。災害殻電子が2個なのでHeっぽいのかなぐらいで思っておきましょう。詳しくはどこかで解説できればなと思っています。
(4) 「電子親和力が大きい」=「陰イオンになりやすい」ということなので17族(ハロゲン)が最大です。第3周期だとClです。


 勘のいい方は、イオン化エネルギーが大きい元素と電子親和力が大きい元素はともに陰イオンになりやすい元素であることに気づいたかもしれません。そこで、これらを足した値に比例する値として「電気陰性度」が定義されました。電子をひきつける力の尺度になる値です。

<例題2>次の文章の空欄に適当な語を入れなさい。
原子Aと原子Bの結合について考える。原子Aと原子Bの電気陰性度が互いに大きい時は分子ABの結合は(    )結合である。電気陰性度が互いに小さいときは(    )結合となり、電子は(    )電子として自由に動く。電気陰性度の差が大きいときは一方の原子がもう一方の電子を奪う形になるので、AB間の結合は(    )結合となる。

<解答>
解答は以下です。覚えておいてほしいのは、原子間の結合はいろんな結合の性質がまじりあっていて、電気陰性度の差によってどの結合の性質が強いかが決まるということです。

原子Aと原子Bの結合について考える。原子Aと原子Bの電気陰性度が互いに大きい時は分子ABの結合は共有結合である。電気陰性度が互いに小さいときは金属結合となり、電子は自由電子として自由に動く。電気陰性度の差が大きいときは一方の原子がもう一方の電子を奪う形になるので、AB間の結合はイオン結合となる。

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