古文 品詞分解練習④

古文

今回は徒然草「九月二十日のころ」の冒頭です。頑張って品詞分解していきましょう。

九月二十日のころ、ある人に誘はれ奉りて、明くるまで月見歩く事侍りしに、思し出づる所ありて、案内せさせて入り給ひぬ。

<解説>
4か所に分けて説明していきます。まず「九月二十日のころ、ある人に誘はれ奉りて、」の部分です。
九月二十日:名詞
の:格助詞 「の・が・を・と・に・て・より・から・にて・して」は格助詞でした。
ころ:名詞
ある人:名詞 「ある」と「人」に分けるのが正しいですが、大事なところではないのでまとめておきます。
に:格助詞
誘は:ハ行四段活用動詞「誘ふ」の未然形
れ:受身の助動詞「る」の連用形。助動詞「る」には受身、尊敬、可能、自発の4種類の意味があるので注意しましょう。今回は月見に誘われたので、受身だと分かりやすいですね。
奉り:謙譲の補助動詞「奉る」の連用形。動詞や助動詞の下について尊敬、謙譲、丁寧といった敬語の意味を表す動詞を補助動詞といいます。
て:接続助詞

「誘はれ奉りて」の部分をもう少し解説します。現代語に訳すと「誘われ申し上げて」となります。古文では会話文でない文を地の文といいますが、この文も地の文ですね。地の文では筆者からの敬意を表します。ここでは筆者が「ある人」に敬意を表していることになります。
謙譲語があるからと言って、「誘はれ」の「れ」を尊敬の意味にとらないように注意しましょう。

では次に「明くるまで月見歩く事侍りしに、思し出づる所ありて」の部分です。

明くる:カ行下二段活用動詞「明く」の連体形
まで:副助詞
月:名詞
見:マ行上一段活用動詞「見る」の連用形
歩く:カ行四段活用「歩く」の連体形
事:名詞
侍り:ラ行変格活用動詞「侍る」の連用形。「あり・をり・はべり・いまそかり」はラ変動詞です。
し:過去の助動詞「き」の連体形
に:接続助詞
思し出づる:ダ行下二段活用動詞「思し出づ」の連体形
所:名詞
あり:ラ行変格活用動詞「あり」の連用形
て:接続助詞

「侍る(はべる)」というのは「あり」の丁寧語で「あります」と訳します。
「思す(おぼす)」は「思う」の尊敬語で、「お思いになる」と訳します。「思し出づ」は「思い出す」の尊敬語ということになります。

最後に、「案内せさせて入り給ひぬ」の部分です。

案内せ:サ行変格活用動詞「案内す」の未然形
させ:使役の助動詞「さす」の連用形
て:接続助詞
入り:ラ行四段活用動詞「入る」の連用形
給ひ:尊敬の補助動詞「給ふ」の連用形
ぬ:完了の助動詞「ぬ」の終止形

「案内す」というのは「案内」+動詞「す」と考えればサ変動詞だと分かるでしょう。
助動詞「さす」には尊敬と使役の2種類の意味があるので注意しましょう。ここでは案内をさせたと考えた方が文脈的に自然です。

以上を現代語に訳すと以下のようになります。

九月二十日の頃、ある人に誘われ申しあげて、明けるまで月見をして歩くことがありましたが、思い出しなさる所があって、案内をさせて、入りなさりました。

復習問題に取り組みましょう。

九月二十日のころ、ある人に誘はれ奉りて、明くるまで月見歩く事侍りしに、思し出づる所ありて、案内せさせて入り給ひぬ。

問1.次のうち、正しいものを選びなさい。
ア 「誘はれ奉りて」の「れ」は尊敬の助動詞である。
イ 「誘はれ奉りて」の「れ」は受身の助動詞である。
ウ 「明くるまで」の「る」は尊敬の助動詞である。
エ 「思し出づる」の「る」は受身の助動詞である。

問2.「奉りて」は誰から誰への敬意を表すか。

問3.「案内せさせて入り給ひぬ」に含まれる助動詞をすべて抜き出し、意味を答えなさい。

<解答>
問1.イ
問2.筆者からある人
問3.させ;使役 ぬ;完了

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