数Ⅰ 必要条件と十分条件

数学Ⅰ

今回は、必要条件と十分条件とは何か、言葉の意味を理解することを目標にしましょう。
「AならばB」を数学では「A→B」と書きますが、A(→の根本)のことを十分条件、B(→の先端)のことを必要条件と言います。では、クイズです。
A:私は、日本に住んでいる
B:私は、東京に住んでいる
という2つの文があります。AはBの必要条件でしょうか、十分条件でしょうか。
まず、A→B(AならばB)が成り立つか考えましょう。日本に住んでいるからと言って東京に住んでいるとは限らないので、これは成り立ちません。
逆に、B→A(BならばA)は成り立つでしょうか。東京に住んでいるので、日本に住んでいるのは正しいですね。
よって、Aは矢印の先端にあるので必要条件となります。解き方は分かりましたか?
まずどちら向きの矢印が正しいかを考えます。次に矢印の先端なのか根本なのかで必要条件か十分条件かを判断します。

では、問題を解いていきましょう。
[問題]次の条件で、AはBの必要条件か、十分条件か答えなさい。
(1) A: 彼は日本一足が速い B: 彼は世界一足が速い
(2) A: 三角形ABCは直角二等辺三角形である B: 三角形ABCは直角三角形である
(3) A: 四角形ABCDは正方形である B: 四角形ABCDは長方形である
(4) A: xは1より小さい B: xは2より小さい
(5) A: x2 = 1である B: x = 1である

[解答]
(1) 日本一足が速いからと言って世界一足が速いとは限らないのでA→Bは×。
逆に、世界一足が速ければ日本でも一番足が速いからB→Aは〇。
よって、Aは矢印の先端なので必要条件です。


(2) 直角二等辺三角形であれば直角三角形といえるのでA→Bは〇。
直角三角形であっても二等辺三角形とは限らないのでB→Aは×。
よって、Aは矢印の根本なので十分条件です。


(3) 少しややこしいかもしれませんが、A→B、つまり「正方形ならば長方形」は正しいです。長方形は4つの角度がすべて90度であればいいので、正方形はその条件を満たすからです。
一方、B→A、つまり「長方形ならば正方形」は誤りです。正方形は4つの角度がすべて90度であることに加え、4辺の長さがすべて等しいことが条件ですが、「長方形」と言っただけではその条件を満たすかは分からないからです。よって、Aは矢印の根本なので十分条件です。


(4) 1より小さい数は当然2よりも小さいのでA→Bは〇。
しかし、2より小さい数は1より小さいとは限らないですね。たとえば1.5とかは2よりは小さいですが、1よりは大きいです。よってB→Aは×。
Aは矢印の根本なので十分条件です。


(5) まず、A→Bを考えましょう。x2 = 1を解くと、x = 1, -1ですから、x = 1とは限りません。よって、A→Bは×です。
次にB→Aを考えます。x = 1 のとき、当然x2 = 1ですから、B→Aは〇です。
したがってAは矢印の先端なので必要条件となります。

問題の解き方は理解できたでしょうか。今回は以上となります。

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