生物 細胞骨格

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生物の教科書などで細胞の図が書かれているのを目にしたことのある方も多いと思いますが、細胞小器官や細胞の形がどのように維持されているのか疑問に思ったことはないでしょうか。あの図には書かれていませんが、実は細胞の形や細胞小器官を支える構造があり、細胞骨格と言います。今回は細胞骨格について学んでいきましょう。

細胞骨格には以下の3種類ありますが、いずれもタンパク質でできた繊維状の構造物です。まずは各細胞骨格がどのような場面で活躍しているのか見ていきましょう。
①アクチンフィラメント:アクチンというタンパク質が重合してできている。筋原繊維を形成する他、細胞質流動、アメーバ運動に関与する。
②微小管:αチューブリンとβチューブリンというタンパク質が結合したものが構成単位。紡錘糸の形成に関与する。
③中間径フィラメント:核の位置や細胞の形の保持に関与する。中間径フィラメントについては構成タンパク質は覚えなくて大丈夫です。

さて、細胞骨格には細胞内の構造を支える以外に、細胞内での物質や細胞小器官の移動にも関与します。「モータータンパク質というタンパク質(電車のイメージ)」が「細胞小器官(積荷のイメージ)」をもって「細胞骨格(レールのイメージ)」の上を走ることにより、細胞小器官を移動させます。走るためには当然エネルギーが必要で、モータータンパク質はATPを加水分解することでそのエネルギーを得ています。
細胞骨格ごとに、一緒に働くモータータンパク質が決まっているので覚えておきましょう。
アクチンフィラメント→ミオシン
微小管→キネシンとダイニン

では、練習問題に取り組みましょう。
<問題>
(1) 細胞骨格のうち、核の形態維持に関わるものはどれか。
(2) 細胞骨格のうち、細胞質流動に関わるものはどれか。
(3) 細胞骨格のうち、細胞分裂時に染色体の分配に関わるものはどれか。
(4) 骨格筋を構成するタンパク質の中で、ATPアーゼとして働くタンパク質はどれか。
(5) アメーバ運動に関する次の説明の空欄を埋めなさい。
 アメーバ運動に関与する細胞骨格は( ① )である。①は( ② )というタンパク質が重合してできたタンパク質で、①の先端で②が重合すると細胞は(伸びる・縮む)。

<解答>
(1) 中間径フィラメント
(2) アクチンフィラメント
(3) 微小管
(4) ミオシン
(5) ①アクチンフィラメント ②アクチン ③伸びる

<解説>
(3) 微小管の説明のところで紡錘糸の形成に関与する、と書きました。細胞分裂の時に2倍になった染色体を2つの細胞に分配する際に働くのが紡錘糸ですので、本問の解答は微小管となります。
(4)書き方がややこしいですが、ATPアーゼとはATPを加水分解する酵素のことです。骨格筋を構成するタンパク質はアクチンなどいろいろありますが、ATPを加水分解できるものはどれかということです。アクチンフィラメントと一緒に働くモータータンパク質であるミオシンが該当します。

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