中学数学や数Ⅰでは2次方程式の解法を学びました。ここでは3次方程式の解法について学んでいきましょう。
<例題>次の方程式を解きなさい。
(1) x3-6x2+11x-6 = 0 (2) 2x3-x2-8x+4 = 0
<解説>
まずは解き方をまとめます。
①解を一つ見つける。仮にaとします。
②左辺をx-aで割る。
です。順番に解説します。
①について、方程式を解きたいので因数分解したいです。
もし方程式がx = a を解にもつなら、その方程式は
(x-a) ( ? ) =0
の形になるはずですよね。
② ( ? )の部分は元の式をx-aで割れば求めることができます。
(1) 左辺にx = 1を代入すると0になることから、左辺は(x-1)を因数に持ちます。
実際、左辺を(x-1)で割ると割り切れて、
(x-1)(x2-5x+6) = 0
となります。x2-5x+6はさらに因数分解できて、
(x-1)(x-2)(x-3) = 0
となります。ここから、x =1 ,2, 3
と求めることができます。
(2) 代入するのは分数でもいいです。この問題ではx = 1/2を代入すると左辺が0になることから、左辺は(x-1/2)を因数に持ちます。このままでは割り算がしにくいので2倍して(2x-1)で割りましょう(右辺が0なので2倍してもOK)。実際に割り算すると、
(2x-1) (x2-4) = 0
となります。(x2-4) はさらに因数分解できて、
(2x-1)(x+2)(x-2) = 0
となり、x = 1/2, -2, 2
と求めることができます。
さて、ここまで解いてきて、①で解を見つける際に解が見つかるまで無限に代入しないといけないのかと疑問に思われた方もいるかもしれません。実際には無限に代入する必要はありません。3次方程式が有理数の解を持つ場合、その解は、最低次の項の約数/最高次の項の約数に±をつけたものに限られます。
例えば、3次方程式2x3-x2-8x+4=0の場合、最低次の項4の約数は1,2,4で最高次の項2の約数は1,2ですので有理数の解を持つ場合、± 1/1, 2/1,4/1,1/2,2/2,4/2 = ±1,2,4,1/2,1/4のいずれかです。これらを代入しても左辺が0にならない場合、有理数解は持たないことになります。
このことを利用した問題を解いてみましょう。入試レベルになりますのでチャレンジしたい方のみどうぞ。
<問題>
3次方程式4X3+3X-8=0は有理数解を持たないことを示せ。
<方針>
「持たない」ことを示すという否定命題の証明ですので、背理法で証明しましょう。
<解答>
与えられた方程式が有理数解を持つと仮定すると、有理数解は
x = p/q (pとqは互いに素な整数)
と書くことができ、次式が成り立つ。
4 (p/q)3 + 3(p/q) -8 = 0 ・・・①
①を変形すると、
4p2+3q2 = 8q3/p
左辺は整数であるから、右辺も整数である。
pとqは互いに素であるから、pは8の約数(±1,2,4,8のいずれか)である。
また、①は次のようにも変形できる。
(8-3p)q = 4p3/q
これも左辺が整数であるから、右辺も整数である。
pとqは互いに素であるから、qは4の約数(±1,2,4のいずれか)である。
以上より、有理数解として取り得る値は以下のいずれかである。
±1, 2, 4, 8, 1/2, 1/4, 1/8
しかし、これらのいずれを代入しても与えられた方程式は成り立たない。
したがって、3次方程式4X3+3X-8=0は有理数解を持たない。
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